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![]() 概要 日本の在来工法で使用されているヘムファー(ウエスタンヘムロックおよびアマビリスファー)の実材の曲げ強度特性を確定する研究を行った。本論文は、105x105、90x90、45x105、30x105、45x90mmの試験結果について曲げ強度と曲げヤング係数をまとめたものである。実大試験の結果は、日本の建築基準における現行のヘムファーの許容応力度の設定値は低めの数値であることを示唆している。背景 日本には、建築に木材を使用する根強い伝統があり、千年以上も経っている寺社建築が珍しくない。日本の戸建て住宅の一般的な工法のひとつは、在来の軸組工法である。この工法では、柱と土台の断面寸法は105x105mmであり、母屋、土台用材は90x90mm、筋かいは45x90mm、間柱は27x105mm、根太は45x105mmが一般的だ。国内産の杉(Cryptomeria japonica)と輸入材であるヘムファーがこれらの部材によく使用されている。ヘムファーとは、ウエスタンヘムロック(Tsuga heterophylla)とアマビリスファー(Abies amabilis)の樹種組み合わせとなっている。カナダおよびその他諸国は、建築基準に性能基準を採用しつつある。これらの新しい基準の最大の特徴は、等級区分された実大材を試験した測定値を基にして、構造設計のための特性値を出していることだ。この種の試験データこそ、木質構造材の許容応力度を特定するうえで最も信頼性が高く、公正な根拠となる。最近、日本も性能基準の作成にかかっており、木材の強度特性を確定するうえで実大試験データを盛り込む可能性がある。 カナダの木材製品業界は、カナダ木材格付機関、NLGAの格付規則(NLGAルール)によって格付けした構造用小断面ディメンションランバーの工学強度については、大がかりなデータベースを有している(Barrett and Lau, 1994)。しかしながら、新しい日本農林規格(JAS143)に基づく針葉樹構造用材や、BC州の大手生産業者が採用した軸組工法用材の、新しい「顧客に特化した」格付規則にしても、これに対応する構造強度の技術データは存在しない。 本研究の目的は、現行の針葉樹の構造用製材の日本農林規格(JAS143—1991年制定、1994年改正)とカナダBC州沿岸地域の団体が自主設定した在来品質保証規則(ZQA)(在来木材協議会製品情報委員会1997年)に基づいて格付けされたヘムファー材の工学的な設計強度を確定することにある。 試験材料および試験方法 ヘムファーの試験体は、日本市場向けに在来工法用材を生産しているBC州沿岸部の全製材工場の生産のなかから抽出した。サンプリングは、全生産量に対する各製材工場あたりの生産量割合に応じて行い、工場に出向き、その場で未乾燥の製材から選定した。工場で、目視による基本的な格付けを行い、研究の対象である各等級につき200本以上の試料が必ず揃うようにした。詳細な試料抽出に関する報告書は、カナダBC州林産業審議会にて入手されたい(Iwasaki、1998)。試験体の一覧は次表、表1のとおりである。 表1 試験体一覧表
試験体は人工乾燥させたが、乾燥工程はおだやかなものを利用して、約18%の平均含水率とした。そして、ブリティッシュコロンビア大学の木質構造工学研究所に搬入後、平衡含水率である約15%に調整した。試験体は一本ずつJAS143甲種構造材IIと乙種構造材の規定に基づいて格付けした(農林水産省、1994年改正)。また、NLGAの目視等級格付規則に基づき、セレクトストラクチュラル、ナンバー1、ナンバー2、格落ち(NLGA、1998)に格付けした。 JAS143は、木口の短辺が36mm未満の材は甲種構造用Iに基づいて格付けするように規定しているが、本研究では間柱は甲種構造用IIに基づいて格付けし、種類の異なる製品の間でも材寸が構造強度にどのように関連しているかを評価できるように、一貫性のあるデータベースを構築することにした。そのうえで、在来品質保証格付規則に基づいて格付けを一本ずつ行った(在来木材協議会製品情報委員会、1997)。 格付け中、一本毎に最大強度低減欠点要因(MSRD) を特定した。人工乾燥材の目視検査により、干割れが原因で一部の材は等級が下がることが判っていた。したがって、干割れを無視した目視検査による格付けも同時に行うことにした。等級決定の要因となった特徴とMSRDを記録した。材の各面を番号で特定し、MSRDの位置を測定して、材面番号で記録した。一本毎に寸法を測定し記録した。 試験体はまず、実大材全長の振動特性に基づくヤング係数を確定するために、Metriguard Model 340 Transverse Vibration E-Computer(横振動ヤング係数測定器)を使用して非破壊試験で測定した。このE-Computerは、試験実施前に基準器の分銅とアルミニウムバーを使用して、毎日、目盛調整を行った。 曲げ試験では使用する試験体の引っ張り力のかかる面をどれにするかで、その試験体の曲げ応力が大きく影響されうる(Leicester et.al, 1996)。試験体の引っ張り面は、国際的な試験方法にしたがい、任意に選定した。90x90や105x105mmの材で、干割れが大きく生じている場合には、干割れの入っている面が曲げ試験時に圧縮側にくるように配置した。 強度特性試験は、ASTM D 4761、「木材および木質構造材料の強度特性試験の標準方式」の手順にしたがって、一本ずつ、ヤング係数と破壊強度を測定した。曲げ試験の強度は、試験スパンの中のどこにMSRDが位置しているかで変わることが予想される。本研究では、MSRDは試験スパン全長のなかに任意に位置するように配置した。(図1、中央集中荷重方式(3点)、スパン対はりせい=18:1)。試験スパンからはみだした部分は試験実施前に切り落とした。試験体からは含水率と比重測定用にブロック状に木片をとった。試験はたわみ量を制御して荷重を測定する方式をとり、90x90mmの場合は18.2mm/秒、その他の寸法の場合は21.2mm/秒とした。 含水率と比重測定用木片は、各試料の含水率と比重を確認するために試験した(ASTM D 2395)。 ヤング係数値は、ASTM D 2915「構造用木材の許容応力評価のための標準方式」に基づいて、データ解析の際に標準含水率15%に調整した。破壊強度は線状表面モデル(Linear Surface Model)による含水率調整法(Barrett and Lau, 1994)を使って標準含水率15%に調整した。試験体の等級毎にそれぞれ、含水率調整後の強度特性を、ASTM D 1990「目視格付けディメンションランバーの実大等級試験による許容応力度確定のための標準方式」にもとづき、ヘムファー材について確定していった。 MSRDは、曲げ試験において、最低の強度を出すと予想される欠点要因。 MSRDの位置は任意。 スパン中央部にたわみ量測定装置を設置 |