実大振動台実験によりカナダツガが住宅の安全性を高める事を証明しました

seismic_22008年、カナダツガを構造材に採用した3階建て木造軸組工法住宅の実大振動台実験が、茨城県つくば市にある独立行政法人土木研究所の大型振動台実験施設で行われました。構造材から羽柄材まで、すべての木材をカナダツガで構成した建物を、阪神淡路大震災の1.5倍の強さで揺らしました。
結果はビルトインガレージを持った偏心率の高い3階建て住宅にもかかわらず、補修を行えば住みつづけることができる被害の程度で済みました。さらに、阪神淡路大震災の2倍という強烈な揺れにも耐え、カナダツガの住宅が地震に強く、木造軸組工法に最適な木材ということがこの実験で証明されました。

9月24日と25日の2日間で行われたこの実験は、カナダツガ研究の中心的な存在であるカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学と、日本の代表的な研究機関である(独)建築研究所の共同研究として実施されました。両者は密接な交流があり、2000年からは国家レベルでの技術協力である日加科学技術協力の一環として、木造建築物の信頼性設計に関する共同研究を行っています。

揺らした試験体は、実大振動実験では例がないビルトインガレージのある3階建て住宅で、約7メートル四方で高さが10メートル、延べ面積は約159㎡です。一階部分にガレージと履き出し窓の大きな開口部があり、返信率が0.215と高い建物です。プレカット加工による一般的な在来軸組工法住宅で、カナダツガを使っているという以外には特別な工法を使用していません。屋根は人口ストレートの屋根材、外壁は15ミリの窯業系サイディングを金具止めによって仕上げを行っています。

試験体は、柱から梁、大引、土台などの構造材から、筋交いなどの羽柄材まですべてをカナダツガで構成しました。柱にはカナダ栂E120-F330を、梁と通し柱にはカナダツガの構造用集成材を使用しました。耐力壁の筋交いには45㎜ x90㎜のカナダツガE120をたすき掛けで使用し、あわせて9.5㎜厚のOSBと12㎜厚の石膏ボードを張っています。OSB
は耐力壁のほか、床や野地板としても使用しています。OSBもカナダ製で建物のすべてがカナダの木材で作られたことになります。

この実験体に、神戸海洋気象台で観測された地震波と設計用の人工地震波を加えてその揺れ具合を観察しました。

1日目は、ガレージ部分をふさいだ状態で地震波をそのまま入れる100%の加振を実施しました。その結果、建物の変形度合いを表す層間変形角は200分の1で、被害はきわめて軽微でした。建築基準法は、数百年に一度発生する大地震を受けても倒壊しない水準の耐震性能が定められています。修復しなくても住み続けられる範囲の被害で済んだということは、これを超える高い性能を発揮したということになります。

2日目は、ガレージの部分を開けた状態で神戸海洋気象台の地震波を150%と200%に増幅して加振しました。公開実験では150%の加振を行いましたが、層間変形角は安全の範囲内となる50分の1に収まりました。内部の被害も石膏ボードの割れが数か所確認された程度で済み、簡単な補修で使い続けることができます。阪神淡路大震災の1.5倍という強い揺れで層間変形角が50分の1に収まったということは、建物の安全性に十分な余裕があったということになります。
続いて、大きな揺れを経験した試験体をさらに200%という強烈な強さで揺らしました。
層間変形角は最大で20分の1となり、さすがに最も力が掛かる面の一階部分の耐力壁は破壊されましたが、倒壊には至らず余裕があり、破損個所は一部に限られ修復する事ができます。

日本の建築技術とカナダの材料が融合した建物は、実際にはあり得ないような強烈な揺れにも耐えることができました。