カナダツガ Hem-Fir(N)の優れた強度特性

ingrade-test

  • Hem-Fir(N)として区別されたカナダツガ
  • その根拠は米加で実施されたイングレードテスト(実大破壊試験)
  • 強度特性の相違を実現したのは厳しい気候と構成樹種群の相違
  • カナダツガは全てHem-Fir(N)

1977年から1978年にかけて北米では、カナダと米国が共同して大規模なイングレードテストを行いました。目視等級区分製材の機械的・物理的な特性を研究することが主な目的で、それまでは無欠点小試験体を基準に決定されていた製材の設計強度を実大試験の結果に基づいて見直すことも目的のひとつとされました。
このイングレードテストの結果を踏まえて変更されたのが樹種表記の変更です。北米では従来、生育条件が似通っており、製材の樹種特性も大差がない場合は樹種群として表記・取り扱う方法が取られていました。Hem-Firであったり、S-P-Fとして表記されるのがそれですが、イングレードテストの結果を踏まえ、1985年からは、カナダのHem-FirはNorth を意味する(N)をつけてHem-Fir(N)と表記され、米国のHem-Firと区別されました。またS-P-Fについても、米国で生産されたS-P-FはSouthの意味でS-P-F(S)と表記され、カナダで生産されるS-P-Fと区別されるようになりました。

Hem-Fir(N)がHem-Firと区別される表記となったのは、1つには厳しい気候条件の下で育った木材は木目が稠密となり強度特性が高かったことが実証されたこともありますが、一方で、カナダでは格付け規則によりHem-Fir(N)に該当する樹種は Western HemlockとAmabilis Firに限定しているのに対して、米国では、Western Hemlock、White Fir、Pacific Silver Fir、Grand Fir、Noble Fir、California Red Firといった樹種をHem-Firの樹種群として規定しており、樹種群の中での強度バラツキが大きくなったことも要因のひとつとなっています。